TypeScriptのコンパイラをGo言語でネイティブ化、10倍速にした「TypeScript Native Previews」が公開

2025年6月3日

マイクロソフトは、TypeScriptのコンパイラを始め各種ツール群をGo言語に移植することでコンパイラの処理速度を10倍速にした新バージョンとなるTypeScriptのプレビュー版「TypeScript Native Previews」の公開を発表しました

TypeScript Native Previewsはnpmとして「npm install -D @typescript/native-preview」コマンドでインストールできるほか、Visual Studio Codeで補完機能などを提供するランゲージサーバが拡張機能としてVisual Studio Marketplaceから入手可能になっています

現状のTypeScriptコンパイラには速度やスケーラビリティに課題

TypeScriptは、JavaScriptに対して型システムを追加し、またJavaScriptの将来のバージョンで組み込まれるであろう機能を備えることなどにより、コードの品質や読みやすさを高める優れた開発者体験を実現することを目指したプログラミング言語です。

TypeScriptは、WebブラウザやNode.jsのようなJavaScriptランタイムを備えた環境で実行できるように、最終的にはJavaScriptにコンパイルされます。

このとき使われるTypeScriptコンパイラは、現時点ではTypeScript自身によって記述されており、通常はJavaScriptランタイムであるNode.jsのパッケージとして導入され実行されます。

しかしNode.js/JavaScriptによるTypeScriptからJavaScriptへのコンパイル(トランスパイル)は処理速度や大規模プロジェクトを処理する際のメモリ不足などの問題を抱えていたと、TypeScriptのリードアーキテクトであるアンダース・ヘルスバーグ(Anders Hejlsberg)氏は指摘しています

TypeScript 7.0でネイティブ版がリリース予定

こうした課題を解決するために、TypeScriptコンパイラを始めとする各種ツール群をGo言語に移植し、ネイティブバイナリ化する「Project Corsa」が開始されました。

今年(2025年)3月にヘルスバーグ氏がProject Corsaを明らかにした際に示されたデモでは、Go言語によるネイティブ化されたコンパイラでは処理速度が従来の約10倍になっていました。

この高速化の要因の半分はネイティブコード化であり、残りの半分はGo言語の並行処理を利用したものだと説明されています。

Project Corsaは最終的にはTypeScript 7としてリリースされる予定です。

現時点でのTypeScriptはバージョン5.8であり、バージョン6.xも引き続き現行のTypeScript/JavaScriptベースで開発が進められる予定ですので、TypeScript 7.0の登場はまだ少し先のことになる見通しです。

関連記事

あわせて読みたい

JavaScript プログラミング言語 Go TypeScript




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本


OSZAR »